練馬署は殺人未遂の現行犯で自宅にいた熊沢被告を逮捕。弁解録取に「包丁で刺したことに間違いない」と容疑を認めた。

 英一郎さんは搬送先の病院で死亡が確認され3日、熊沢被告は殺人容疑で送検された。東京地検は21日、殺人罪で起訴した。

 熊沢被告は東大を卒業後、1967年に農林省(現・農水省)に入省。経済局長などを経て2001年に事務次官に就任したが、牛海綿状脳症(BSE)問題の責任を問われる格好で02年に退官した。05年~08年には駐チェコ大使を務めた。

 その後、事件があった自宅に引っ越した。よく夫婦でスーパーに出掛けるところなどは見掛けられたが、近所付き合いはあまりなかったようだ。

 英一郎さんは大学に進学後、1人暮らしをしていたがほとんど引きこもった状態で、事件の1週間前に事件があった家に戻っていた。

 逮捕後の供述によると、熊沢被告は英一郎さんの家庭内暴力で身の危険を感じ、さらに近所の小学校で開催された運動会の音に腹を立て「うるせえな、ぶっ殺してやるぞ」という発言を耳にした。

 そして、5月28日に起きた川崎市の小学生ら20人殺傷事件が頭に浮かび「長男が他人に危害を加えるかもしれないと思った」と述べていたとされる。

被害者のために尽くし折れた心

 公判で事件の概要を追ってみたい。

 初公判が開かれたのは今月11日。黒いスーツ姿の熊沢被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 検察側は冒頭陳述で、英一郎さんは中高一貫の進学校に通学していたが、いじめに遭い家庭内暴力をふるうようになったと説明。

 そして、高校卒業後は複数の大学やアニメの専門学校に通学。06年に病院に就職したが、08年には辞め、その後は働いていなかった。15年には発達障害と診断されていたという。

 また証拠調べで、事件までの1年半に熊沢被告と英一郎さんがSNSでやりとりしたメッセージの内容を提示した。