予防接種を受けた後
娘は真っ青になって倒れた
真澄さん(仮名・50歳)は、6年前の出来事を昨日のことのように思い出す。それも何度も何度も、思い出しては気持ちが沈む。
「子宮頸(けい)がん予防ワクチンを接種させてください」――自治体からの通知を受け、当時中学3年生の娘を連れて近所の小児科・内科クリニックを受診した。娘が保育園の頃から家族ぐるみでお世話になっているクリニックだった。
通知には「16歳までなら公費で受けられる。その間に3回は受けたほうがよい」というようなことが書いてあり、真澄さんはなんとなく焦っていた。受験を控えている大切な時期。一定の間隔を空けて3回全部受けさせるには、うまくスケジュールを組まなくてはいけないと思った。
「日本では毎年1万1000人が子宮頸がんと診断され、そのうち亡くなる人は3000人以上なんだって。特に20代からが危ないそうよ。予防接種を公費で受けられるなら、絶対受けておいたほうがいいよね。自費だと5万円近くかかるんだって」
注射嫌いの娘の手を引きずるようにしてクリニックに行った。