外交政策でも、対北朝融和政策は失敗の様相だ。

 ピョンチャン五輪を契機に「平和が訪れた」(文大統領)かに見えた朝鮮半島の融和ムードは消えつつある。

 今年2月、ベトナムのハノイで行われた米朝首脳会談が決裂に終わった後でさえも、文氏は、5月7日、ドイツのメディアに寄せた長文の寄稿で、「韓半島に春がやってきた」「南北は互いに敵対行為の終息を宣言し、恒久的な平和定着の最初のボタンをかけることができた」と、成果を強調した。

 しかしその認識は、現実とは大きくずれていたことはすぐ証明された。

 文氏がこの寄稿文を寄せた5月に、北朝鮮はミサイル発射実験を再開し、現在に至るまで13回にわたり実験を繰り返している。

 最近は、東倉里ミサイル発射場で長距離弾道ミサイルを発射し、ミサイル発射技術を使っての人工衛星打ち上げの準備を進めている。

 東倉里は、昨年9月19日、文氏が平壌を訪れ、金正恩労働党委員長と首脳会談を終えたあと、金氏が「永久廃棄することにした」と宣言した施設だ。

 その日、文氏は、「韓半島の完全な非核化は遠くない」とも語ったが、それも現実とは違ってきている。

 北朝鮮は12月7日、「非核化交渉はテーブルから外した」(金星北朝鮮国連大使の発言)と宣言した。米国との非核化交渉の主導権をとる思惑もあるとみられるにしても、「金正恩委員長の非核化の意志は確固たるものだ」としていた文大統領の認識とは大きく違っている。

対日強硬姿勢で支持者まとめ
保守勢力も抑える思惑

「内憂外患」の危機に陥っている文大統領に残された求心力回復の道は一つしかない。「反日」で雰囲気を反転させることだ。

 当面は来年4月の総選挙で勝つために、日韓の間で懸案になっている日本の「輸出規制」(輸出管理の厳格化措置を韓国では「輸出規制」という)を解き、徴用工問題で韓国の主張を通すことが、国内での支持を回復することにつながる。

 だが、これらの問題を来年4月より前に、文大統領が思うような方向で解決できる見込みはほとんどない。

 文大統領は、日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)の延長を条件にすれば、日本が態度を軟化させ、これらの問題で譲歩すると思っていたようだが、日本政府はGSOMIAと輸出管理問題は別次元の問題だとの認識を変えていないし、徴用工問題でも譲歩するつもりはないようだ。