日本で「ヒト・モノ・カネ」不足の悪循環が進んでいる。それにもかかわらず、与野党ともに打つ手なしという状況に陥る日本の政治・社会システムには限界がきている。そこで、令和元年を締めくくるに当たって、日本の限界を超える「新しい国家像」を提示したい。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)
日本の政治・社会システムに
限界がきていることは明らか
2019年に国内で誕生した日本人の数が86万4000人となり、統計を開始した1899年以降で初めて90万人を下回る見通しとなった。一方、死亡数は137万6000人と戦後最多で、自然減は51万2000人と初めて50万人を超えた。昨年、初めて40万人を超えたばかりであり、政府の少子化対策にもかかわらず人口減少が加速していることが明らかになった。
日本社会のあらゆる場面で、「少子高齢化」の悪影響が顕在化している。とにかく、「ヒト・モノ・カネ」が足りない。さまざまな政策の実現が遅れ、さらに少子高齢化が進み、ヒト・モノ・カネが足りなくなるという悪循環がスパイラル状に進んでいる。