「人生100年時代」と言われる今。ひと昔まえは、おばあさんと言われていた60歳が、美容をはじめ様々な技術の進歩で、ものすごく若くなっています。これまでの上の世代は、正直参考にならない。では、今をどんな風に生きて、どんな風に楽しめばいいのだろう?そこで、同世代女性永遠の憧れモデルである黒田知永子さん(現在58歳)と、『服を買うなら、捨てなさい』でお馴染みのスタイリスト地曳いく子さん(現在60歳)に、『おしゃれ自由宣言!』の中から、今のアラカン(60歳)のための、あたらしいおしゃれと暮らしについてお話しを伺いました。考え方は似ているのに、仕上がりは全然違う二人。他では見られない私服や自宅写真も必見です!
おしゃれのプロでも、完璧な組み合わせはそんなにない。
黒田 以前いく子ちゃんから聞いた、「大人に着回しなんていらない。お気に入りの組み合わせがあったら、そればかり着ている方が何倍もマシ」って言葉。あれ、本当にそうだなって思います。
地曳 自分たちも関わっておきながらなんですが、雑誌などで頻繁に登場する「着回しコーディネイト30日」なんていう企画、あれって大人には必要ないと思うんです。着回さなきゃ! コーディネイトのバリエーションを増やさなきゃ!と思うと、「イマイチだけどまあいいか」くらいの位置づけの格好が必ず生まれますよね。そんな格好をしてしまった日に限って、たまたま知り合いに会って、「意外にダサい人」という印象を残してしまう。人って、よかったことより、悪かったことの方が強く覚えているから、その人にとってあなたは「ダサい人」という位置づけになってしまう。つまり、このトップスにはこのパンツとこの靴!という「鉄板のコーディネイト」を頻繁に登場させる方がずっと素敵ってこと。そういう意味で、チコさんの「究極のワンパターン」って本当に理想的だと思います。
黒田 自分では全然ワンパターンだとは思ってないんだけど、結果的にそうなっているのかも。バリエーションを増やそうとして、本来の自分じゃない格好をしてしまった時の不快感ってやっぱりわかりますよ。その昔、どうしても持ってみたくなって、赤いバッグで出かけたことがあったけど、自分らしくなさすぎて1日中妙に居心地が悪く、早く家に帰りたかった。それからそのバッグは登場していません(笑)。
地曳 時々ダサいものを挟むくらいなら、同じものの繰り返しの方が何百倍もマシ。する必要のない着回しをあれこれ考えるのも、時間の無駄使い。もちろん私も若い頃はおびただしい量の洋服を所有していましたし、あれこれ似合わないものに手を出した経験も山ほどあります。だからこそ実感したのがこのセオリー。今は、気に入ったら、同じ組み合わせを1週間に3回だって平気で着ます。
黒田 私もそう! お洗濯のローテーションと会う人さえ違えば、お気に入りの組み合わせを頻繁に登場させていますよ。
地曳 いい感じのコーディネイトが、1シーズンに3パターンくらいあれば十分。それでずっと気分よく過ごせるんですから。一生ものだから買うのではなく今の気分があがるかどうかが重要。