『いつもの服を着ているだけなのに、なぜだかおしゃれに見える』が話題のスタイリストの山本あきこさんと、ショップ店員の接客についての著作『売れる販売員が絶対言わない接客の言葉』が好調の平山枝美さん。お二人に、失敗しない服選びのポイントや、ショップ店員との上手な付き合い方などを語ってもらいました。(構成:佐藤友美)

少しのテクニックで服は突然おしゃれに見える

___ここからは、おすすめのコーディネートの仕方や、秋冬のトレンドについてお話を聞かせてください。

平山 私、山本さんの本でなるほどと思ったところがいくつもあったのですが、中でも「ジャストサイズの服をジャストウエストで着る」というのと「ウエストの位置は自分で思っているよりも意外と高い」というのは、目からウロコでした。

 私と山本さん、同世代くらいだと思うんですが、私たちの世代ってパンツを腰で履くのが流行った時代の記憶があるから、そこから脱却できていない人が多いんですよね。

山本 シャツをインしてウエストを強調したり、高い位置でスカートを履いてもらったりすると、みなさん最初はびっくりされるんですよ。「え? こんなに高いところで?」って。でも、ウエストから下が脚ですから、ウエストは高い方がいいんですよ(笑)。

 身体のラインを出すのに抵抗がある方も、一度やってみたら「痩せた?」と必ず聞かれるので、やっているとジャストサイズ、ジャストウエストで着るのが習慣になりますね。

平山 それから、アクセサリーの話でいうと、ピアスとバングルのテイストを合わせればいいというのは驚きました。

山本 センスがいい人というのは、「シンプルな服を着ているのに、なぜだかおしゃれに見える人のこと」と本にも書きましたが、まさに、シンプルな服を着ていても、小物使いがおしゃれだと一気に垢抜けて見えますよね。

平山 次々言っちゃって恐縮なのですが(笑)、「スーツ用に作られた服はセットアップで着る用に長さが作られているから、単品では使えない」というのも、確かにそうだなあと思いました。

山本 本では「セットアップのスーツは買わない」とまで言い切ってしまいました(笑)。

平山 私自身もお客様に「セットで買っておけばジャケットはジーンズにも合いますし」という勧め方をしていたんですけれど、でもよくよく考えたら、ジーンズに合わせるんだとしたら丈が長いな、と。私も勉強になりました。

___著書やセミナーなどで店員の方の指導をされる立場の平山さんから見ても、役に立つんですね。

平山 この本、店員目線で見ても、お客様に服をおすすめするときの声掛けにいいなと思うところだらけなんです。なんとなく感覚でわかっていたけど、文字になっているのを見て「ああ、そっか」と腑に落ちるところがたくさんありました。