>>(上)より続く

 携帯2台持ちの水商売の女性は、本名と源氏名のアカウントを持っています。水商売の女性は、お店では源氏名で呼び合っていて、ラインを交換したときに初めて本名を知るというのは水商売あるあるです。

 そして今回のケース、ラインの登録名をイニシャルにする理由は、本名と源氏名を同じのイニシャルにしておくことで、お客さんに本名がバレることがなく、そして昼の友達に夜の仕事をしていることを悟られないようにするための対策なのです。

 私はどうやってサユリの正体を暴き、マサヒロの目を覚まさせるかを考えました。

 そのバーの住所をグーグルマップに入力してみると、後輩芸人のケイタがバイトをしている無料案内所の近くでした。これは力になってもらえると思いました。

 サユリはおそらく常習的にこの手口を使っているので、必ずまたこのバーに現れます。そこでマサヒロにサユリの予定をさりげなく聞いてもらい、夜忙しいと言った日を教えてもらいました。その日に犯行に及ぶと考えたからです。そして、後輩のケイタと話しているフリをして、この無料案内所の前で張り込もうと考えました。

予想通り、終電近い時間に
中年男性と現れた女

 2日後にマサヒロから連絡がありました。何と今週は夜、全て忙しいと言われたようです。

 サユリが悪い女であるかどうかという以前に、完全にもう脈なしじゃないのか?もう調べてもどうしようもないんじゃないか、とも思ったのですが乗りかかった船なので張り込むことにしました。

 とはいえ、さすがに毎日はつらいので金土の2日間、21時から24時の間だけ張り込むことにしました。

 ケイタいわく、「終電前くらいまでは案内所もあまり忙しくないので全然大丈夫ですよ」とのことだったので軽く事情を説明し、サユリの顔写真も見せて、12月の寒空の下、立ち話をしながら例のバーのあるビルに入っていく人を観察し続けていました。