人気ブロガー・ちきりんさんの今回の対談相手は、『地球の歩き方』の編集に長年たずさわってきたダイヤモンド・ビッグ社の取締役編集担当・石谷一成さん。1982年に入社し、94年から『地球の歩き方』を担当。『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』(大和書房)を書かれたばかりのちきりんさんと、縦横無尽に「地球の歩き方」について語ってもらいました。
就職間際のオファー
ちきりん 今日はよろしくお願いします。私は最近、大和書房さんから『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』という本を出しまして、その本のなかにも書いてあるんですが、私自身も80年代の半ばくらいからいわゆるバックパッカー的に宿泊先の予約もせずに航空券だけ買ってヨーロッパから共産主義の国々、アジア、南米と50ヵ国ほどを回ってたんです。
石谷 それはすごい。旅の達人ですね。
ちきりん 最初の頃から『地球の歩き方』はよく利用させていただきました。その頃は、バックパッカーに便利なガイドブックが他にほとんどなかったですよね。
石谷 たしかに。このシリーズは、バックパッカー向けのガイドブックとしては先駆け的な存在でした。
ちきりん じつは大学の頃にビルマとかべトナムとかに行って、現地の情報を『地球の歩き方』に投稿して載せていただいたことがあるんです。掲載誌を送っていただいてスゴク嬉しかった記憶があります。
それと、就職が決まったあとだったのでお受けできなかったんですけど、ダイヤモンド・ビッグ社さんからお電話をいただいて、「ビルマとかラオスのあたりをぐるっと回ってきて、情報をまとめてくれないか? 1ヵ月くらい行ってきてくれたら、ちょっとだけお礼も出しますよ」という電話をいただいたんです。電話をいただいたのが卒業直前で、4月から就職して社会人として働く予定だったので、「残念ながら……」という感じで断わってしまいました。もし1年早くご連絡をいただいていれば、人生が変わって、いま頃、トラベルライターになっていたかもしれない(笑)。
石谷 そんなことがあったんですか?
ちきりん はい。それで今回、『地球の歩き方』の編集責任の方に詳しいお話をうかがえるということで、楽しみにやってきました。このブランドをどう作り上げてこられたのか、直接、うかがえればと思っています。
石谷 はい、こちらこそよろしくお願いします。ところで、弊社がちきりんさんに東南アジアに行ってこないかと?
ちきりん はい。1ヵ月くらいかけて、インドシナを中心に東南アジアを回ってくる気はないですか?というお話でした。
石谷 担当は安松?
ちきりん よく覚えてないんですけど、男性の方です。そうだったのかもしれません。
石谷 彼が初代の編集長で、東南アジア関係を担当していました。
ちきりん そうなんですか。旅行も書くことも好きだったからとっても悩んだんですが、卒業の年の3月頃お電話をいただいて、5月くらいに行ってこないかというお話だったと記憶しています。4月から就職だったので、「それはちょっと人生かかってますよね……」って感じで、お受けするのがむずかしかったんです。当時は何人で編集をしていたんですか?
石谷 4人ですね。小さな所帯でした。