「ベーシックインカムの実験ではない」と
割り切ると多くの興味が湧いてくる

 では、今回の「ビッグなお年玉」に社会実験としての意味はないのかというと、「やりようによっては」そうでもあるまい。

 一時的に所得が増えた場合に、人はそのお金を何に使ったり、どのような影響を受けたりするのか。この点は、大いに興味深い。

 経済学の教科書でいうところの「限界消費性向」のようなものを直接観察できるし、人は一時所得を何に使うのか、それは元々の富裕度・貧困度とどう関係するのか、あるいは、増えた所得を投資する人は何%いるのか、何に投資するのか、などさまざまな調査に使えそうだ。

「これは、ベーシックインカムの実験ではない」と割り切ると、別の興味が湧いてくる。

 ところで、幸い筆者は前澤氏に仕える立場にないが、今回の社会実験の実務を回すのは極めて大変だろう。

 まず、数百万人規模の応募者から当選者を1000人選び、連絡を取って、実験への協力を約束してもらう手続きが大変だ。「ランダムに選ぶ」と発表されているので、公平に選ぶ必要があるが、1000人と連絡を取るのは大変だ。上手く連絡が取れないケースもあろうし、連絡相手は1000人をかなり超えるだろう。

 また、1000人の銀行口座を調べて、毎月8万3000円ずつ支払うとすると、振り込みの手続きだけでも大変だ。例えば、振り込み口座を何らかのネット銀行に集約するなり、何らかのキャッシュレス送金システムを使うなり、送金の方法を効率化する必要があるだろう。