ある日、のび太はシャーロック・ホームズの作品を読んで大いに感激する。そこでドラえもんに、名探偵になるひみつ道具「ホームズ・セット」を出してもらう。のび太は、大事なものをなくして困っているしずちゃん(漫画ではしずかちゃんをしずちゃんとしている)を助けようと、「ホームズ・セット」を使用。推理の結果、犯人はのび太であると指摘される始末だった。この後もいいことは一つもなく、のび太は「探偵ごっこはもうこりごりだよ」と言うのであった。(『ドラえもん(3)』、「シャーロック・ホームズセット」より)

 実はこの大失敗に終わったドタバタコメディーにも、成功の秘訣が隠されている。のび太は、ひみつ道具を使って探偵になってみたからこそ、自分が探偵に不向きだと気づいたのだ。もし何の行動も起こさなかったら、それすらわからなかっただろう。あれこれ考えずに即行動するスピード感も、夢を叶える必須条件なのである。

◇妬みをプラスに転換する

 誰かを「うらやましい」と思うことは多々ある。のび太がスネ夫の持ち物に対して「うらやましい」と思うシーンは、短編だけで20回以上も登場する。結局ドラえもんに泣きつくケースがほとんどだが、そこに夢を叶えるヒントが隠されている。

 あるときのび太は、正月からコツコツ鉄道模型を作っていたが、スネ夫はその10倍もの大きさの模型を持っていた。悔しく思ったのび太は、ドラえもんにひみつ道具「ポップ地下室」と「フエルミラー」を出してもらう。そして、立派な鉄道模型を作ることに熱中する。ようやく出来上がった模型は、スネ夫も仰天するような立派な仕上がりだった。「スモールライト」で小さく変身したのび太やしずちゃんたちは、大喜びで鉄道に乗るのであった。(『ドラえもん(39)』、「のび太の鉄道模型」より)

 この作品のように、のび太は「うらやましい」ことに対し、努力してそれ以上のものを手に入れようとしている。ひみつ道具の力を借りたら自分もできる。そう信じているから、何ごとにもくじけない心を持てるのだ。

◇幸せな未来をつくる「優しさ」

 未来ののび太は、しずちゃんのハートを射止めて結婚に至る。彼女の心を動かしたのは、何よりのび太の優しさだ。のび太は仲のいい友だちだけでなく、ときに敵対するような相手にも優しさを発揮する。