後期高齢者の医療費負担増
後期高齢者の医療費負担増には批判も相次いでいます Photo:PIXTA

後期高齢者の医療費について、自己負担比率を原則1割から原則2割に引き上げる方向で検討されている。批判も相次いでいるが、それは財政上やむを得ないことであり、むしろ医師不足の現状を緩和する可能性もある。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

医療費は年間42兆円超にまで増加

 高齢化により、医療費が年々増加している。当たり前だが、一人当たりの医療費は高齢者の方が若者よりはるかに多いからである。実際、平成25年には39.3兆円だった医療費は、平成30年には42.6兆円にまで増えた(厚生労働省「平成30年度 医療費の動向」)。今後とも高齢者が長生きし、日本で最も人口が多い年代である団塊の世代が後期高齢者になると、医療費は一層増加していくであろう。医学の進歩によって高額な治療が増えていくことも医療費増加の原因となる。

 そうであれば、自己負担の比率を引き上げることで、健康保険制度(および税金、以下同様)の負担を和らげる考え方が出てくるのも自然なこと。高齢者の自己負担比率が現役世代より低いのであれば、現役世代並みに引き上げようという考え方さえ出てきても不思議ではない。

 しかし、本稿が注目するのは、単なる世代間の負担の押し付け合いではない。医療費の自己負担を引き上げることで医者に通う患者が減り、医療費の総額が減るだろうという効果である。

今は医療サービスが供給されすぎていないか

 仮に、医療サービスを受けて苦痛が改善する喜びと、レストランで1500円の外食をする時の喜びの大きさが同じだとしよう。

 医療費が1万円で、後期高齢者の自己負担割合が1割だとすると、自己負担額は1000円なので、外食を我慢して医療サービスを受ける後期高齢者が多くなると考えられる。