高所得の高齢者でも医療費負担を1~2割にできる可能性があります
高所得の高齢者でも医療費負担を1~2割にできる可能性があります Photo:PIXTA

 前回の本コラムで、70歳以上の高齢者も働いて収入が増えたり、年金収入が多かったりして、所得が一定ラインを超えると、医療費の自己負担割合や高額療養費が高くなる仕組みについて確認した(参照:「70歳以降も年収370万円以上なら『医療費3割負担』の非情な現実」。

 人生100年時代といわれる今、定年退職後もできるだけ長く働いて収入を得られれば、生活にも、気持ちにも余裕が生まれる。医療費の自己負担額が高くなるからといって、収入を抑えるのは本末転倒の話だ。

 とはいえ、高齢になると、病気やケガをする確率は高くなり、若い世代に比べて病院や診療所に行く回数も多くなる。いざというときの医療費は、できるだけ抑えられるにこしたことはない。

 実は、所得が規定のラインを超えていても、ある裏ワザを使えば、自己負担割合を引き下げられる可能性があるのだ。

高齢者の医療費自己負担は
かつて無料の時代があった

 国民皆保険制度をとっている日本では、国籍や年齢に関係なく、この国で暮らす全ての人に、なんらかの健康保険に加入することを義務づけており、加入者には健康保険証が発行される。

 この健康保険証を提示すると、病院や診療所では必要な医療を受けられるが、原則的に、誰もが年齢や所得に応じた一部負担金が徴収される。だが、かつては70歳以上の人のほとんどが、無料で医療を受けられる時代もあった。

 敗戦後、1950年(昭和25年)に勃発した朝鮮戦争による特需で、皮肉なことに日本経済は飛躍的に回復した。その一方で、解消されない貧困や格差は、昭和30年代に入ると大きな社会問題となる。中でも深刻だったのが高齢者問題だ。

 家族制度の廃止によって、親に対する子どもの扶養意識が薄れ、独居の高齢者の生活環境や寝たきり高齢者の介護問題などが浮上してくるようになった。高齢者問題の解決が重要な政策課題となるなかで、1963年(昭和38年)には老人福祉法が制定され、養護老人ホームや特別養護老人ホームなどが作られるようになる。