サムソン
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【ソウル】半導体メーカーは苦しい1年を経て、安堵(あんど)のため息をつける理由ができた。業界の右肩下がりに歯止めが掛かったのだ。

 復調の新たな兆候をもたらしたのは世界最大の半導体メーカーである韓国のサムスン電子だ。同社が発表した業績見通しはアナリスト予想を上回った。これに先立ち、競合の米マイクロン・テクノロジーは12月、業界の最悪期にようやくけりがついたと指摘していた。

 最大の追い風は世界的な第5世代移動通信システム(5G)の導入だ。これまで減少してきたスマートフォン販売を勢いづけ、大容量メモリーを要する人工知能(AI)や演算、データストレージへの企業投資が拡大するだろう。

 メモリーチップ価格は過去1年3カ月の間、ほぼ一貫して急降下していた。歴史的な収益を上げた時期が過ぎ、世界経済が伸び悩む中で過剰生産に陥り、売れない在庫が大量に残された。

 だが、2019年10-12月期は調子が上向いた。調査会社トレンドフォースによると、NAND型フラッシュメモリーの契約価格は約1年半ぶりに上昇。2020年1-3月期のDRAM契約価格は、1年以上みられなかった上昇に転じると予想されている。

 電子部品販売会社フュージョン・ワールドワイドのエグゼクティブバイスプレジデント、トビー・ゴナーマン氏は、「(メモリーチップの)在庫のだぶつきは以前より減っている。3四半期前のような過剰在庫はみられない」とし、ここ2カ月でメモリーチップの売買が増えているとも指摘した。

 昨年は半導体メーカーの利益が減少したにもかかわらず、投資家は2020年の復調に賭けていた。このためサムスン電子は昨年、株価が年間で44%上昇。マイクロンは64%高、SKハイニックスも61%高となった。この3社を合わせたシェアは世界の半導体製造の大部分を占める。

 企業や業界専門家は昨年、いずれ市場環境が改善すると期待していたが、米中貿易摩擦が解消しなかったため、予想する改善時期をやや遅らせた。半導体の買い手は関税計画や軟調なスマホ販売を懸念し、購入を先送りしていた。

 業界関係者やアナリストによると、需要増を受けた成長回帰への楽観論が明らかに強まってきた。

 スマホ販売もメモリーチップの需要を押し上げる可能性が高い。今年は複数の主要市場で5G網が拡大される予定で、スマホ販売に追い風になるとみられている。調査会社カウンターポイントのアナリスト、タルン・パサク氏によると、消費者が買い換えを先延ばしし、スマホ販売は2年連続で減少した。

 パサク氏は今年のスマホ出荷台数が4%増になると予想する。「スマホのメモリー容量も毎年のように拡大している」という。

 一方、バーンスタインの半導体市場担当アナリスト、マーク・ニューマン氏によると、フェイスブックやアマゾン・ドット・コムなどインターネット大手は何カ月もの間メモリーチップ在庫を絞り込んでいたが、再び在庫を拡充し始めた。

 半導体業界はまた、増産のための投資を控えた結果、過剰な生産能力を抱える危険性が低下し、安定感を増している。半導体メーカーの2019年の設備投資額は推計で前年比60億ドル減の440億ドル程度になったとみられている。6年近く拡大し続けた設備投資が減少に転じたことになる。

 ニューマン氏は業界が「底を打った」と語った。

(The Wall Street Journal/ Eun-Young Jeong)