フェイスブックの仮想現実(VR)製品は、ようやくヒットのときを迎えたかもしれない。フェイスブックがVR市場に参入してから6年近くがたった。同社が2014年3月にVRゴーグルを開発するオキュラスの買収に支払った20億ドル(現在のレートで約2200万円)という金額は、その2年前にインスタグラムの買収に支払った金額の2倍だった。リスクもはるかに高かった。インスタグラムは無料で、既に約3000万人の利用者がいた上、その用途も画像共有というなじみのあるものだった。数百ドルを費やして高解像度ディスプレーを頭に装着しようとする人の数ははるかに少なかった。以来、そうした状況はあまり変わっていない。ニールセンのゲーム調査部門スーパーデータによると、ヘッドセット「オキュラスVR」の2019年7-9月期(第3四半期)末までの累計販売台数は約260万台。これは、ライフサイクルの終わりに近づいているソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション4」の19年第3四半期のみの販売台数に匹敵する。VRはビデオゲーム向きの性質を持つ製品に思えるが、機器の値段の高さやゲームタイトルの少なさに加え、高性能なヘッドセットは依然としてパソコン(PC)やゲーム機にケーブルで接続する必要があることなどが原因で訴求力が非常に限定されてきた。