日本が連日のメダルラッシュに沸いている。

 8月6日時点の日本の獲得メダルは金2、銀12、銅13の計27。前回の北京五輪の獲得メダル総数は25だから、すでに抜いている。卓球女子団体とボクシング(バンタム級)・清水聡のメダルは確定しているし、今後もメダル獲得が期待できる女子レスリング、体操男子種目別平行棒、男女サッカーなどが残っている。過去、日本が最も多くのメダルを獲得したのは8年前のアテネ大会で37個だが、今回はそれを超える可能性さえあるのだ。

 金メダルが2個と少なく、最後まで勝ち切れない勝負弱さを指摘する声もあるようだが、各競技ともレベルアップが進む今、世界の3位までに入る選手がこれだけいることは、素直に評価すべきだろう。

 また、メダルに手が届かなくても大健闘を見せた選手もたくさんいる。たとえばバドミントン男子シングルスの佐々木翔。準々決勝で惜敗したが、その相手が凄い。北京大会、今大会と五輪2連覇を達成した中国のヒーロー林丹である。

 北京五輪では全試合ストレート勝ちの圧倒的な強さを見せ、世界選手権でも敵なし状態。もちろん世界ランク1位だ。今大会でも陸上短距離のウサイン・ボルト、体操の内村航平、競泳のマイケル・フェルプス、柔道100キロ超級のテディ・リネールらと並んで金メダル確実と言われた怪物的選手である。佐々木はその林丹をあと一歩で負かすところまで追いつめたのだ。第1ゲームを落としたが、第2ゲームを奪取。最後の第3ゲームも粘りに粘り、王者を苦しめた。

 陸上女子1万mに出場した新谷仁美、福士加代子、吉川美香の3人も健闘した。長距離はケニア、エチオピアのアフリカ勢が異次元の強さを持つ。そんな怪物たちを相手に3人はレース中盤までトップを走り、最後は力尽きたものの新谷は入賞まであと一歩の9位、福士は10位、吉川は16位に入った。レース後の3人には全力を出し切った充実感を示す笑顔があったが、見る側にもどんな強敵にも臆せずチャレンジする勇気が伝わった。五輪ではメダルを獲った選手ばかりがもてはやされるが、こうした奮闘を見せた選手も正当に評価し記憶にとどめておきたいものだ。