長男は引きこもっている間、1日16時間もオンラインゲームに没頭し、A子さんが怒鳴って注意すればするほど、暴言や暴力がひどくなった。

「子のありのままの姿を、親の私が認められなかった。私が“普通”に生まれて“普通”に育ってきたので、本来、人間が持っているポテンシャルを持っていて当たり前だと思って育ててきた。でも、子どもにはできなかった。“普通”を求めてしまった結果、苦しんだ上に動けなくなったんです」

「一緒に死のう」
親子2人でベランダに

 長男の暴力はエスカレートし、殴られて青あざをつくった。2人で「一緒に死のう」と思ったこともあった。

 マンションのベランダで、2人一緒に手すりに手をかけて、長男は足もかけた。飛び降りようとした瞬間、内側に引き落として、ベランダで泣いた。

「うちは母子家庭だったので、2人きりだから、逃げ場所がなくて……。でも、死んだら終わりだから、これまでのやり方はダメなんだって……」

 いろいろな公的機関に相談したが、「現実味のある対応ではなくて」、たらい回し状態に遭った。結局、自分で自分に気づくしかなかった。

 藁にもすがるような気持ちでネットの情報を調べるうちに、「不登校・ひきこもり」の情報交換を行っているサイトを見つけた。主催者はわからなかったが、同じような体験をしている母親たちにメールを通じて相談することができた。いわば“オンライン親の会”だ。

 一方で、学生時代の友人から「逆のことを考えろ」と言われた。つまり、「今までの考えをずっと続けていると、子どもも一緒で変わらない。右へ行こうと思ったら、左へ行け。それくらいの意識改革じゃないと、同じのことの繰り返しだ」という意味だった。