ストレスを感じた子どもはどうなる?

 だから、夫婦仲が悪い親はまずボクシングのグローブを床に置き、和解に努めよう。夫婦の反目がずっと続けば、子どもは長期にわたりストレスを感じた人間がとりがちな行動を見せはじめる。

 そうした子どもは不安障害やうつ病に苦しむリスクがきわめて高くなる。そしてストレスによって免疫系が正常に機能しなくなり、風邪をひきやすくなるそのうえ、同じ年頃の子どもと対立しやすくなる。集中力が弱くなり、感情をうまく制御できなくなる。また、安定した家庭で育てられた子どもよりIQが8ポイントほど低い。

 ほかの子どもたちと比べると高校を中退しやすく、卒業できたとしても成績は悪い。この不安定な家庭環境に親が終止符を打ったとしても子どもは長年、その代償を払いつづける。

子どもの目の前で仲直りしよう

 夫婦ともに感情が安定していて、夫婦間の争いが日常的にない家庭であろうと、ときにはケンカすることもあるだろう。

 だが研究によれば、子どもの目の前で夫婦ゲンカを繰り広げるよりも、夫婦が仲直りをする現場を見せないほうが、子どもに大きいダメージを与えるそうだ。

 多くの夫婦が子どもの前でケンカをするけれど、仲直りは子どものいないところでこっそりとしている。だが、たとえ幼い時期であろうと、いつも親が傷つけあう光景ばかりを見て、包帯を巻きあうところを目撃しない場合、子どもの認知機能がゆがんでしまう。

 夫婦がケンカをしたあと、互いに手当てをするところを意図的にはっきりと見せておけば、フェアに戦う方法と仲直りをする方法、その両方の手本を子どもに示せるのだ。

(本原稿は『100万人が信頼した脳科学者の絶対に賢い子になる子育てバイブル』ジョン・メディナ著、栗木さつき訳の抜粋です。本書では「夫婦ゲンカの四大原因」や「夫婦関係を守る方法」なども紹介しています。)