日本に対しても、「日本製自動車に関税を課すぞ。嫌なら米国製の武器を買え」といった圧力をかけたように、中国に対しても「米国製品を買え」と圧力をかけてきた。それが奏功して今回の合意に至ったわけで、大統領選挙に向けて大きな得点を得たとご満悦なようである。

 もう1つは、本気で殴り合うケンカである。会社に例えるなら、実力をつけてきた副社長の派閥に対して、社長の派閥が脅威を感じて、本気でたたきつぶそうとするようなものだ。米国議会の中国に対する姿勢は、こちらに近い。

「中国が不正な手段で力をつけ、米国の覇権を脅かそうとしているから、今のうちにたたきつぶしておかなくてはならない」という正義感と恐怖心から来ているので、「殴ると手が痛い」などとは毛頭考えず、本気で殴り合いをするつもりのようだ。

 経済学者らは「輸入関税を課すと米国の消費者も困る」といった経済的側面のみに着目する人が多いが、そんなことは百も承知で全面戦争に突入しようとしている。

 彼らが主戦場と考えているのは、「中国が産業補助金などによる不公正な手段で産業育成を図っていることなど」を止めさせることであろう。しかし、それは中国が絶対にやめたくないはずなので、今後の交渉は大いに難航するだろう。

大統領選挙の結果にかかわらず
米国の姿勢は変わらない

「トランプ大統領が大統領選挙で負ければ、中国への圧力も弱まるだろう」と考えている人もいるようだが、そうはならないだろう。最近の議会は、ほぼ満場一致に近い状態で中国が大いに困りそうな法律を相次いで可決している。つまり、民主党も共和党も中国たたきにおいては見解が共通しているのである。

 これは、仮にトランプ大統領が大統領選挙で負けたとしても、中国たたきは続くことを意味している。むしろ、中国からすれば「オモチャを差し出せば許してくれるトランプ大統領よりも、本気で我々をたたきつぶそうとしている議会の方がよほど怖い」のかもしれない。