日本と米国の景気動向、株価の現状分析と中期予想については、前回、前々回に詳述したので、今回は中国を軸にした状況を俯瞰(ふかん)してみよう。
リーマンショック後、2009年を底に回復過程に入った世界経済は、かつてない規模の金融緩和によって景気回復を続けてきた。しかし、クレジットサイクルの観点からは、米国は景気回復の最終段階、中国は経済成長率の長期的な下方屈折の局面にあると筆者は考えている。
米中間の問題は通商問題の次元を超えた「米中新冷戦」であり、新冷戦期への移行は1990年代以降急速に広がったグローバルなサプライチェーンの再編成を迫っている。とりわけ2008年以降過度な信用膨張に支えられた中国経済の失速を契機に世界的な信用収縮、本格的な景気後退と株価下落局面に移行する可能性が高まっている。そう考える訳を説明しよう。