実効的な給付率はここ15年上昇傾向にあり、2017年度は医療保険全体で84.98%、うち後期高齢者以外は80.33%、後期高齢者(現役並み所得者を除く)は92.70%になっているのが実態だ。

 世界に誇る国民皆保険を守るために、大原則として7割給付を堅持することに筆者も強く賛成する。

 だが高齢化が進む中で、外来受診時の定額負担の導入や後期高齢者の自己負担割合の見直しなどについて、附則第2条を金科玉条にして検討を進めないようなことがあれば、むしろ7割給付の仕組みが維持できなくなる恐れすらあるのではないか。

 制度設計の工夫をせず、そのしわ寄せが保険料の際限のない負担増となっていけば、多少の賃上げがあっても可処分所得は増えず、国民生活の向上や消費の活性化は見込めない。

 経済の活力が奪われれば、国民皆保険を運営する保険料の負担を背負ってはいけなくなる。

高額の“追加負担”が現実
「紹介状なし」の大病院での受診

 外来受診時の定額負担に対し反対する声があるのはわかるが、一方で、現実には、他の医療機関からの紹介状なしに一定規模以上の病院にアクセスした場合には、すでに1~3割の自己負担の外枠で、追加的にかなり高額の負担を求められている。

 このことが受け入れられているのに、少額の定額負担への反対が強いのはいささか不思議でもある。

 現在、紹介状なしに病床数400床以上の病院を受診した場合には、初診時に5000円以上、再診時に2500円以上の定額負担が求められる。

 中間報告では、この負担額を増額し、対象を200床以上の一般病院に拡大することが具体的に示された。

 これを改革の前進と評価する向きもあるが、この見直しによって病院と診療所の機能分化や連携がどの程度図られるか、その効果はわからないのではないか。

 というのも、拡大対象となる多くの病院では、紹介状なしでの受診の際に特別の料金を徴収する仕組みを、義務化とは関係なくすでに持っているからだ。

 また、紹介状なしの大病院受診時の定額負担については、2016年度、2018年度と対象病院を広げてきたが、紹介状なしで受診する患者は依然として高い割合を占めている。

 病気を治したいというときに、5000~1万円程度の負担はいとわないという人々が決して少なくないとすれば、対象病院の拡大が、かかりつけ医への誘導を促すとは期待しにくい。