朝日が昇る中、武漢の通りはターミナル駅へ向かう人であふれていた。23日、新型コロナウイルス感染で既に17人が死亡したこの都市から人々は脱出しようとしていた。中国当局が武漢から他都市への移動を禁じる計画を発表した後とあって、駅の待合所はごった返していた。死者を出した新型ウイルスは、野生動物が取引される同市内の市場で発生したとみられている。移動禁止は感染を食い止める新たな手段だ。駅では静かに座って食べたり会話したりする人もいたが、遅れて封鎖計画を知った人々はパニック状態の中をかき分けて進んだ。「いま行かなければ、出られなくなる」と語る倉庫マネジャーのゴン・シアンさん(31)は、わずか数時間前に荷造りしたダッフルバッグに腰掛けた。移動禁止を知ったのは午前3時。すぐさま午前9時の邯タン行きの乗車券を予約した。中国北部の河北省にある邯タン市には親戚がいる。