大曲貴夫(おおまがり のりお)国立国際医療研究センター病院副院長・総合感染科科長、国際感染症センターセンター長大曲貴夫(おおまがり・のりお)/国立国際医療研究センター病院総合感染科科長、国際感染症センターセンター長 Photo by Hiromi Kihara

――どのような症状があらわれますか?

 感染して発症すると、発熱のほか、鼻水、喉の痛み、痰(たん)など、いわゆる呼吸器の症状が出ます。また、重症化すると、肺炎を引き起こしたり、腎臓の機能が低下したりして、死亡することもあります。

 SARS(サーズ)とMERS(マーズ)の場合、水様性の下痢をするという報告がありますが、今回の感染症では下痢の報告は非常に少ないです。

 中国の保健当局の話では、感染してから症状が出るまでの潜伏期間は平均で7日前後、2日から12日程度と幅があります。

――死亡者数もじわじわ増えています。

 世界保健機関(WHO)が1月23日に行った記者会見では、これまでに感染した方のうち、重症になったのは4分の1で、ほとんどの方の症状は比較的軽いということです。また、これまでに死亡した方のほとんどは高齢者か高血圧や糖尿病、心臓や血管の病気など免疫を低下させる持病があり、合併症を起こしやすい状態にあったと推察されます。

――感染力は強いのでしょうか。

 1人の感染者から1.44~2.5人に感染するといわれています。麻疹(はしか)の16~21人、風疹の7~9人と比べれば、あまり強いほうではありません。

――WHOは、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態ではない」として、緊急事態宣言を見送りました。これはどういうことでしょう。大した脅威ではないということでしょうか。

 会議の時点では、ヒトからヒトへの感染は、中国では家族内と医療関係者に限定されているため、今回の問題は主に中国国内の問題ということになり、世界的な脅威と指定するには時期尚早と判断したのです。ただ、委員会メンバーの意見は割れたと聞いていますし、事務局長は中国や各国と協力して情報収集を続けると強調しています。世界的な脅威があるともないとも言い切れないということです。