TV『嵐にしやがれ』に出演し、隠れ家ARASHIの「コーヒー講座」で、嵐の松本潤さんにコーヒーの魅力を紹介した、ワールド・バリスタ・チャンピオンの井崎英典氏。元々コーヒーは、昔から世界中でマニアを生み出している魅惑の嗜好品だが、味が「進化」していることを知る人は少ない。コーヒーの生産現場では、これまでの常識を覆す革新の嵐が巻き起こっているのだ。

コーヒーといえば「苦味」と「酸味」で語られることが多いが、今、世界中のコーヒー好きを唸らせているのは、それとはまったく異次元の味わい。独特の甘さやフルーティーなフレーバーから、初めて飲んだ人は「これ、本当にコーヒー?」と口をそろえ、病みつきになる人が続出している。サードウェーブ・コーヒーのムーブメント以降、世界を席巻する驚愕の味とは?

本記事では、松本潤さんが実際に飲んで驚いた異次元コーヒーについて、『ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方』を刊行したばかりの井崎氏が解説する(撮影:京嶋良太)。

世界を席巻する異次元コーヒーとは?

私が『嵐にしやがれ』のスタジオでコーヒーを淹れて、嵐の松本潤さんが特に驚かれていたのは、「ゲイシャ」と呼ばれる品種と、「カーボニックマサレーション」という、コーヒー豆に独特の生産処理を施したコーヒーでした。コーヒーとは思えないフルーティーな味わいに、松本潤さんもビックリされていました。

確かにこの2つは、これまでのコーヒーの味に馴染みのある人からすれば、異次元の味わいに感じると思います。そして今、世界を席巻する新しいコーヒーを象徴するものかもしれません。

では、「ゲイシャ」と「カーボニックマサレーション」とは一体何なのか。拙著『世界一美味しいコーヒーの淹れ方』でも「品種」「生産処理」による味の違いについて詳しく解説していますが、今回は簡単にその特徴をご説明しましょう。

世界一高いコーヒー「ゲイシャ」とは?

ゲイシャ種とはエチオピアのゲシャ村にて発見されたエチオピア原産の品種です。香水や花のようなゴージャスな香りと、フルーティーな酸や甘さが特徴です。

このゲイシャ種が注目されたのは、2004年に中米のパナマにて開かれた「ベストオブパナマ」という品評会で、エスメラルダ農園がこの品種を出品したことがきっかけでした。

驚くべきフレーバーとフルーティーな酸や甘さに多くの審査員が高評価を付け、それ以来世界中のマーケットにて高値で取引される品種となっています。

そして、世界で一番価格が高い品種も、このゲイシャ種です。2019年のベストオブパナマのオークションで、世界で最も高いコーヒーの価格が更新されました。

それはなんと1lb(453.592g)あたり1,029USドルでした。ニューヨークの先物取引市場の平均取引額が1ドル少々だと考えると、なんと約1000倍の高値で取引されています。

さらに驚くべき価格がつけられたのが、パナマとエチオピアに農園を持つ会社が中東の会社に販売したゲイシャ種でした。販売価格はなんと1kgあたり1万USドルでした。純粋な生豆の原価で考えて、1gあたり10ドルになります。

通常コーヒーショップでは100gごとに袋詰めして売っているので、生豆のみの原価ベースで1袋10万円という驚くべき価格です。当然、輸入にかかる経費、製造費や人件費など然るべき経費がのせられて販売されるので、販売価格はさらに高くなります。

これは少し極端な例ですが、「ゲイシャ種」は世界中で大きなトレンドとなっていることは事実です。また、パナマだけではなく、その他の生産国でもゲイシャの栽培が始まっていますので、ゲイシャ種を気軽に楽しむことができる時代も近いかもしれません。

実際、日本でもゲイシャが飲めるコーヒーショップが増えてきました。普通の豆よりは値が張りますが、ゲイシャの豆を売っているお店も増えています。