コンセプトは、
自らの手で殺すものである
そもそも、私たちは何のためにコンセプトを考えていたのでしょうか?
それは「未知の良さ」を実現して、「世界を変えるため」であったはずです。
コンセプトは 、ものづくりのスタート地点だけにあるものではなく、ものづくりが終わった後も、世界を観察するための指標となるべきです。
そして生み出したコンセプトが、あなたが想定していた意図の通りに世界を良くしたことが確認できたとき、あなたの冒険の第1幕はやっと幕を閉じることになります。
そして、第1幕が閉じられた瞬間、コンセプトは死を迎えます。もっと言えば、あなたが生み出したコンセプトは、あなた自らの手によって、殺さなければいけないのです。
唐突に「殺す」なんて物 騒な言葉を使ってしまいました。
ここではアップル社のiPhoneを例にして、コンセプトを殺すということの意味を説明します。 たとえば、以下の問題を解かなければいけなくなったという状況をイメージしてみてください。
問題:iPhoneを超える携帯電話を企画しなさい。
なんて難しい問題なんだ! と思われたかもしれませんが、故・スティーブ・ジョブズ氏は常にこの問題をのど元に突きつけられていたことを考えると、実はそこまでおかしな問題設定ではありません。
この連載を読んで下さった皆さんは、「こういった問題こそ解かなければいけないのではないか?」とすら思われるでしょう。