履歴書からは見えてこない
海外経験者の「強み」とは

 鈴木優希さん(25歳)もまた、旅人採用で就職をした1人だ。ジャパングレイスという世界を巡る船旅を主催する企業に2019年2月に入社し、現在は寄港地でのツアーの企画や手配を担当している。彼女はオーストラリアに1年留学した経験を持ち、英語を生かした仕事を希望していた。

「最初は、どんな仕事をしたいのかが漠然としていたのですが、カウンセラーさんとやりとりするうちに、少しずつ具体的になっていきました。海外経験が生かせる職業を第1条件にしていましたが、それに合う企業を提案してくれたおかげで、良い仕事に就くことができました」(鈴木優希さん)

 入社後は得意の語学力を駆使して、すでに10カ国以上飛びまわり、忙しい毎日を送っている。

 旅人採用は、観光ではない海外経験を持つ人を対象にしている。新卒の学生は「5カ国以上の訪問、または1カ月以上の滞在経験」、既卒者は20代限定で「10カ国以上の訪問、または3カ月以上の滞在経験」を持つ人となっている。現在5500人が登録しており、採用企業は250社を超えている。

 運営メンバーは全員が、世界一周や留学、ワーキングホリデーなどの海外経験を持っており、応募者の状況や気持ちを理解できるスタッフが揃っている。

就活で苦戦する「海外経験アリ学生」の支援サイトが登場海外経験者の支援を行っている、旅人採用プロジェクトマネージャーの田村彰康さん

 なぜ、海外経験を持つ若者への就職サービスを始めたのか、カウンセラーの1人、田村彰康さんに取材をした。田村さん自身も26歳で世界一周の旅を経験している。

「海外経験を持つ人材を採用しようという企業は徐々に増えてはいますが、まだ日本での就職活動は不利という現実があります。見知らぬ土地を回って経験を積んでいくと、自ずと主体性が育まれますし、異なる文化も理解できます。海外で得た知見をもっと日本の社会で生かしてほしい、というのが旅人採用を立ち上げた理由です。海外経験者は、タフで意思決定能力が高く、好奇心や行動力も旺盛です。こういった能力は、従来の履歴書優先の就職活動ではなかなか伝えられません」(田村さん、以下同)