秘書Photo Illustration:WSJ Photo:gettyimages

 かつてオフィスを取り仕切ったのは、役員の秘書役である「エグゼクティブアシスタント」だった。いつの間にか、彼女たちがいなくてもオフィスは回るようになった。

 非大卒女性の確固たるキャリアの進路が消えつつある。それは静かに、少しずつ進行している。だが事の重大さは、ブルーカラー工場労働者が見舞われた苦境に肩を並べるとエコノミストは話す。

 テクノロジーと自動化は、書類のファイリングや電話応対といった仕事を徐々に奪った。新世代の企業リーダーは、会合のスケジュール調整も航空便の予約も自分でできる。コスト削減に積極的な企業は、管理業務のポストを減らし、それでも管理部門に残った従業員の役割を変容させ、一部の業務を低コスト地域に移管させた。

 米政府統計によると、2000年以降、160万人分以上の秘書・アシスタント職が姿を消した。40%近い減少幅は、製造業の雇用喪失に匹敵する規模だ。だがこれまであまり注目されてこなかった。一度に数千人の労働者が職を失う工場閉鎖とは異なり、伝統的に女性が担うセクターの雇用は少しずつ消滅しているからだ。

 このセクターの頂点が「役員秘書」だ。労働市場調査会社エムシによると、95%を女性労働力が占め、数十万人いるとみられる。