アリババ
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レビュー

『アリババ 世界最強のスマートビジネス』書影
『アリババ 世界最強のスマートビジネス』ミン・ゾン著 土方奈美訳 文藝春秋刊 2100円+税

 アリババはアマゾンの中国版ではないか。そう考えている人が本書を読むと、衝撃を受けるだろう。ビジネスモデルでは、アリババの方がアマゾンよりもユニークで実に面白い。それが、要約者が本書『アリババ 世界最強のスマートビジネス』を読んで率直に抱いた感想である。

 アリババはアマゾンとは異なり、在庫も持たず、配送も自社で行わない。それでいて、アマゾンに匹敵する時価総額を誇っている。その競争力の源泉を著者のミン・ゾン氏は、次の方程式で説明する。「ネットワーク・コーディネーション+データインテリジェンス=スマートビジネス」。機械学習技術を活用し、相互に結びついたプレイヤー(買い手、売り手、サービスプロバイダー)をリアルタイムに協調させる。そして、バリューチェーン全体を再構築し、大規模化とカスタマイズを同時に実現可能なものとするのだ。

 著者は2017年まで、アリババの最高戦略責任者にあたる総参謀長を務め、それ以前は、欧州トップクラスの経営大学院INSEADで准教授を務めていた。ジャック・マーから直接アリババの戦略アドバイザーへの就任を懇願されたほどで、本書のテーマを語るに適した人物といえよう。

 抜群の識見を備え、アリババの戦略をけん引してきた著者が、理論的かつ体系的にアリババの強みの源泉を解剖しており、実に読み応えがある。スマートビジネスという新たな戦略的地平に読者をいざなってくれることだろう。(森本進也)