NTT東日本の提供する光回線サービス「フレッツ光」の伸びに急ブレーキがかかっている。
新規契約数から解約数を除いた純増数は、今年4月の10.1万件から5月の4万件、6月の2.4万件へと激減している。
図に示すように四半期ごとの推移を見れば一目瞭然。新生活の始まる4~6月の稼ぎ時が今年は前年同期に比べ49%も減少しているのだ。
固定電話事業の減収が続く中、フレッツ光はNTT東の経営を支える屋台骨である。それが予想外のペースで純増数が落ちているため、社内にも動揺が広がっている。山村雅之社長は「(6月の社長就任後)さらに競争環境が厳しくなっている」と話す。
原因は新規契約数の減少というよりも、解約数の倍増にあるようだ。
まず、KDDIの光回線サービス「auひかり」がここにきてサービスエリアを急拡大させている。今年6月末で人口カバー率が前年同期比25ポイント増の64%に達した。光回線と携帯端末をセットで加入すると割安になるプランでNTTから顧客を奪っている。
また、NTTドコモの「Xi(クロッシイ)」やUQコミュニケーションズの「WiMAX(ワイマックス)」など無線の高速通信サービスが続々登場。これが競合し、通信費の負担増を避ける家庭が光回線を解約している。
これに対し、山村社長は「単純な値下げは難しいが、キャンペーンの展開や料金メニューの多様化を図りたい」と割安な料金プランを提供する方針だ。なんと仇敵ソフトバンクの携帯端末をセットで売るという話も浮上してきたほどである。
競争環境の激変により、NTT東は難局を迎えている。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)