野党が不信任案を提出
政局に想定外の緊張感

 ここしばらく、大手メディアでは、あたかもオリンピックの競技結果だけが日本と世界の重大ニュースであるかのように報じられている。しかし、世界最高峰のスポーツ・ゲームの傍らで、ルールも審判も未熟なローカル・ゲームではあるが、「日本の政局」がにわかに緊迫してきた。

 消費税増税法案について民主・自民・公明の三党が合意した展開を見たときには、その後の政治的勝ち負けはともかく、増税法案は国会を通過することが確定したように思えた。

 しかし、国民の生活が第一やみんなの党など野党6党は、7日、衆議院では野田内閣に対する不信任案を提出し、参議院でも7会派が野田首相に対する問責決議案を提出した。

 内閣不信任案は他の法案に優先して審議され、衆院は与党が過半数を持っているが、民主党内から十数名の賛成者、あるいは三十数名の欠席・棄権者が出ると可決する。否決できる公算が大きいと見るが、可決の可能性がゼロではない。

 参院の問責決議案は、野党多数の参院では可決する見通しだ。可決すると野党は首相が出席する審議に応じなくなると見込まれ、参院は事実上機能停止する。問題の消費税率引き上げ法案は、参院に送られてから60日採決されなければ見なし否決とされて、今度は衆院での再可決による通過が可能となる。

 衆院での再可決のためには3分の2以上の賛成が必要であるため、再び自民党・公明党(少なくとも自民党)の協力が必要で、野党側がここで解散を迫るという戦略はあり得る。

 少し前までは、ほとんど消化試合のように見えた国会が急に緊迫してきた要因は、直接的には三党合意を前提にこの採決を先に延ばして、その間に特例公債法案(赤字国債発行のための法案)など政権運営の障害になりかねない懸案を処理してしまおうとした「虫の良すぎる」民主党の国会対策にあった。