北朝鮮の新年カウントダウンツアーから帰国した日本人旅行者の「お土産」が関西国際空港で没収された。しかし、同時期に成田に降り立った旅行者は没収されなかった。国際貨物業界では「カルロス・ゴーン被告を出国させてしまった失態が異様な厳格化につながっているのでは?」とも噂されている。

関空は没収だが
成田はOKの理不尽

北朝鮮の金日成広場ライトアップされる金日成広場(2020年正月・訪朝者提供)

 国連による経済制裁が過去最高に強化された北朝鮮。新年を迎えるカウントダウンツアーから帰国した、複数の日本人旅行者の土産物が関西国際空港で没収されていたことが分かった。

 没収されたのは、北京経由で関空へ帰国した日本人旅行者たちで、代理店1社だけでなく複数の旅行会社手配で訪朝していた人たちが一網打尽だった。一方、北京首都国際空港で分かれて成田国際空港へ帰国した人たちは没収されていないという不公平な状況になっている。

 関空の税関職員は「中国丹東の入出国印があると検査するようになっている」と説明したという。しかし、ここ数年、同様に丹東から北朝鮮へ出入国した旅行者が土産物を没収されたという話はあまり聞かない。

 関西国際空港を所轄する大阪税関は、貿易関係者の間では日本でもっとも厳しいことで有名だ。海外から輸入するときには関西ではなく、一度、東京(成田)へ入れてから国内転送する業者もあるくらいだ。

「大阪税関が他の税関よりも厳しい理由は、関西に在日朝鮮・韓国人が多いことが要因の1つとなっている、と業界内ではいわれています」(兵庫の国際貨物会社)

 元々厳しい関空に加えて、今回はある事件の影響もあるのではとの疑念もある。年末年始のどさくさに紛れてトルコ経由でレバノンへ逃走し、日本中を驚かせたカルロス・ゴーン被告の存在だ。

 ゴーン被告を検査なしで通過させてしまった失態で関空は批判にさらされた。その挽回アピールのために検査を大幅に強化したのではないかという指摘だ。だとしたら一般旅行者はとんだ迷惑を被ったことになる。