もし部下から「辞めたい」と言われたら……

 では、具体的にどんな風に対応を変えればいいのでしょうか。部下から退職、転職の希望を告げられた場合。たいてい上司側の反応は、次の3つに分類できます。

①「ブラック」上司
 「責任を放棄する気か!」「案件が終わるまで退職は無理だぞ」などと脅したり、退職を引き延ばしたりします。これは論外ですので今すぐやめる必要があるでしょう。

②「無理に引き止め」上司
 辞めてほしくない気持ちから、「今やめてどうするの?」「この会社を辞めたら、行くところはあるの?」などと詰め寄ってしまうパターン。自分が部下を信頼していればいるほど、こうした対応をしてしまう人は多いです。
 しかし、ある調査によると、「2人に1人の転職者が、ホンネの転職・退職理由を企業に伝えていない」という結果が出ています。相手が建前上の理由を語っている以上、それを前提にいくら引き止めたところで、決意は変わらないでしょう。だったら、できるだけ気持ちのいい別れ方をしたほうがお互いのためです。

③「卒業応援」上司
 
素直に「もう少し一緒にいてほしい」との思いを伝えつつも、部下の決意が固いようなら、次のステージを応援してあげる。これが、今の時代に合った「別れ方」です。決してエモーショナルな話ではなく、そうしたほうがお互いにその後、何らかのビジネスが広がる可能性も高まります。相手が優秀であればあるほど、その傾向は強くなります。

 ③の典型的な例が、リクルートでしょう。同社は長年退職のことを「卒業」と呼び、独立や転職を会社の方針として後押ししています。だからこそ、「元リク」と呼ばれる卒業生たちが業界で活躍し、リクルートの評判(レピュテーション)を自然に高める行動をしてくれているのだと思います。
 この話がみなさんにとって少しでもインスピレーションになれば幸いです。