待望の新刊、『OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める』が発売5日目に重版し、3万部を突破。著作の合計部数も30万部を超えた北野唯我氏。いま、人材マーケット最注目の論客であり、実務家だ。
その北野氏が、今回選んだテーマは、「組織」。「ウチの会社、何かがおかしい?」という誰もが一度は抱いたことがある疑問を科学的、構造的に分析し、鮮やかに答えを出している。
なぜ、あなたの職場は今日も息苦しいのか。具体的に、何をすれば「オープネスが高い」組織がつくれるのか。明日、少しでも楽しく出社するために、一人ひとりができることは何か。本連載では、これらの疑問について、独自の理論とデータから解説する。
採用することばかりに注力していないか?
前回の記事では、「人が採用できない会社」がやらかしているNGについて述べました。日々、私が人事担当者と接しているなかで、「恐ろしいな」と感じるのは、「誰も指摘しないまま、NGが放置されていること」です。
そして、数あるNGのうちでもかなり重大で、かつ9割以上の企業が見逃していると感じるポイント――それは、人材を「採用すること」ばかりに注力して「辞めていく人」を軽視しているという点です。
これだけ転職が当たり前になっているなかで、「一生一つの会社で仕事人生を終える」という人は、どんどん減っていきます。「辞めた人が、その会社に対していい評価をしてくれている」ということが、企業のブランド価値を上げるうえで不可欠になってくるのです。
『OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める』で使用した840万人の内部クチコミデータは、退職者を含む「実際に働いた人」の生の声から作られています。「企業のウソがバレる」今の時代おいて、退職した人からよく思われていない企業は、転職・採用市場での定量的なスコアが下がってしまう。そして、それが一瞬で可視化されてしまうのです。
私たちはこの価値の転換を「別れ方改革」と呼んでいます。
・今会社に残ってくれている人が一番大事
・辞める人にはどんなにひどい態度をとってもいい
という価値観を持ち続けている企業は、今後、転職・採用市場において淘汰されていくことは明白なのです。