新型コロナウイルスによる肺炎が急増する中、感染した中国人患者の家族はインターネットを頼りに、ウイルスに効き目がありそうな治療薬を必死で探している。中国政府は効果が立証された薬はまだないと警告している。いま注目の的は、米バイオ医薬品大手アッヴィのHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症治療薬(抗レトロウイルス薬)「カレトラ」だ。ある種のウイルスの増殖に必要な酵素を阻害する働きがある。チェン・ルオピンさん(57)の家族もこの薬(商品名Kelizhi)の争奪戦に加わった。感染の中心地である武漢市在住のチェンさんは先月発熱し、肺炎と診断された。だが病院はすでに満杯で新型コロナウイルス診断キットは底を突いており、受け入れを拒否された。チェンさんの息子はネットで助けを求めた。