一般教書演説では、特に経済での実績が強調された。確かに米国の失業率は低下、株価も上昇し、景気が良いことは事実だが、その一因は大幅な減税と政府の支出拡大であり、地方自治体、社会保障基金を含む財政赤字は2016年の7989億ドルから、2019年の1兆2071億ドルに急増している。

 連邦政府の赤字は今年度に約1兆ドルに達し、2030年度には1兆7420億ドルになる、と米議会予算局は警鐘を鳴らしている。

 だがもちろんトランプ氏はそれには言及しない。米国のGDPは昨年2.1%の伸びを示したが、その後は1.7%程度に減速する見込みだ。

アフガニスタン和平交渉
「大いなる進展」はフェイク

 トランプ氏は一般教書で、「国防費に2.2兆ドルの記録的巨額を充てた」「米軍は世界のどこよりも強く、追い付くことすらできない」と、軍事力の整備やそれを背景にした軍事、安全保障政策についても成果を誇った。

 トランプ氏は「アフガニスタンで大いなる進展を遂げることができ、和平交渉が現在進められている」と述べ、アフガニスタンからの米軍撤退を目指していることを明らかにした。

 だが、トランプ氏の言う「大いなる進展」は虚偽と言うべきだろう。

 米軍は2001年10月にアフガニスタンを攻撃して以来、すでに18年余りもタリバーンと戦っている。米軍の死者は2200人余り、負傷者は2万人以上で、戦費は1兆ドルともいわれる。

 だがタリバーンは勢力を回復し、米国が支援する同国政府の勢力圏は国土の30%程度とみられる。

 米国はなんとか面目を保って撤退するためタリバーンと和平交渉を行っているが、優位のタリバーン側は「外国軍の撤退が先決だ」との姿勢で協議は一進一退を繰り返している。

 アフガン人は1979年に侵攻したソ連軍と9年間戦って勝ったが、米軍との18年余りの戦いにも勝利しつつある情勢だ。

国連安保理決議とは
真逆の「中東和平案」

 トランプ氏は、アフガニスタンからの撤退をはかる一方で、今年1月28日にはイスラエル支援を一層強める中東和平案を公表した。

 その内容は、(1)ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地や、西岸よりも東のヨルダン渓谷一帯をイスラエル領とする、(2)エルサレムは不可分のイスラエルの首都である、(3)テロ防止などの条件を満たせば東エルサレムの一部を含むパレスチナ国家の建設を認める、(4)パレスチナに500億ドル以上の投資を行い経済成長を促す――というものだ。

 だがこの「和平案」は、国際社会の目指してきたものとは逆のものだ。