食パンブーム
高級食パンブームで「食パン専門店」が激増している Photo:PIXTA

 空前の高級食パンブームで、「乃が美」をはじめとする高級食パン専門店が続々と誕生したり、全国各地でパンフェスティバルが開かれたりするなど、人気はとどまるところを知らない。

 1世帯あたりのパン年間支出金額(総務省統計局「家計調査」)は、2011年~13年の3年間の平均で2万8912円だったが、16年~18年には3万268円と、この5年で1300円以上もアップするほど、パンは以前よりも確実に食卓で存在感を増している。

 これならさぞかしパン屋はどこも潤っているのだろう、と思うかもしれない。しかし、実のところ業界全体で見ると、厳しい状態に追いやられている。帝国データバンクの調査によると、パン製造小売業の倒産件数が、2019年になって急増しているのだ。

2019年から倒産が急増!
苦境に陥った5つの理由

「実は、大手ベーカリーチェーンや地域のベーカリーは苦戦気味です。参考値になるものの、2015年には10件だった倒産件数は、16年に15件、17年18件、18年15件とこの数年はほぼ横ばいで推移していましたが、19年は31件と急増しています」

 こう語るのは、帝国データバンク東京支社情報部情報取材課の伊佐美波氏。31件は少ないと思われるかもしれないが、同調査は「パン製造小売」を主業としている全国756社(法人、個人営業)を対象にし、さらに負債総額1000万円以上の法的整理を行った倒産会社を集計したもの。負債総額1000万円以下も含めれば、さらに数が増える可能性がある。

「この数字は倒産件数のみです。一般的にいわれているのが、休廃業・解散の件数は倒産件数の3倍程度です。データに表れないものも含めれば、倒産件数より多くのパン製造小売業者が、破綻に追い込まれている可能性があります」(伊佐氏)

 空前のブームによって好調に見えるパン業界で、なぜ倒産や休廃業が相次いでいるのか。

 まず考えられる1つ目の理由が、同業他社との競争激化だ。高級食パン専門店など、パンブームによって新たに参入してくるパン製造小売業者は増加。たとえ立地がよかったとしても、新規店に客が取られるなど影響はばかにならない。