「偉いですね。でも、身体は悲鳴を上げていますよ。旦那さんにはもっと協力してもらって、あなたはしっかり身体を休める努力をしてください。あとは栄養をしっかりとって、体重は増やしたほうがいいですよ。痩せすぎもよくない病気ですから。何か身体にいいことを積極的にやってみるのもいいと思います。

 漢方薬もお出ししますね。すぐに効果があらわれる薬ではありませんが、しばらく飲んでみてください」

「あの、子どもは母乳で育てているんですけど、薬を飲んでも大丈夫なんでしょうか」

「ええ、この薬は大丈夫です。治療法はほかに、鼓膜に手術用のテープを貼る方法や、耳管を狭くするシリコン製の耳管ピンを挿入する手術などがあり、有効性が認められてはいますが、うちでは行っていません。いずれにしても、耳管機能を根本的に治す治療法はまだ見つかっていないので、うまく病気と付き合っていけるよう頑張りましょう」

 帰宅し、医師から言われたことを渉さんに告げると、さっそくその夜から、寝かしつけや、夜泣きする赤ちゃんをあやすのを代わってくれるようになった。不慣れながらも懸命にやってくれている。その後、夜泣き自体減ってきたせいもあり、わりとまとまった睡眠がとれるようになってくると、頭の中に響き渡る赤ちゃんの泣き声もあまり気にならなくなり、朋子さんの耳は徐々に回復していった。

 すごく疲れたときなどは、ぶり返すこともあるが、いつの間にか治る。将来、重症化したら、そのときはそのとき。今は、この病気とうまく付き合っていく自信が持てている。

(医療ジャーナリスト 木原洋美)

※本稿は実際の事例・症例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため患者や家族などの個人名は伏せており、人物像や状況の変更などを施しています。