新型肺炎の蔓延で
持ち株を売却すべきか?

株価下落に苦しむ投資家
売るべき時に持ち続け、持ち続けるべき時に売ってしまう…多くの投資家が陥りがちな罠とは? Photo:PIXTA

 このところ、世間は新型コロナウイルスの話題で持ちきりとなっている。株式市場に目を転じてみると、コロナウイルスに関するニュースが大きく取り上げられ始めた春節の前後に一時、株価が下落する局面もあったが、その後はすぐに持ち直している状況だ。

 今回の騒動で中国経済が大きな影響を受けていることは間違いないのだが、今後は日本やアメリカについてもどれくらい実体経済に変化が起きるのか、まだ読めない段階ではある。

 ただ、過去にも中国発のSARS(重症急性呼吸器症候群)や、中東で起こったMERS(中東呼吸器症候群)の時、株価が一時的に下落した場面はあったものの、それほど大きく低迷したことはなかった。今回どういう結果になるかはまだ何とも言えないが、病気の蔓延(まんえん)よりも、それによって経済がどれくらい悪化するかが、株式市場にとって大きな影響を与える要因になるだろう。

 ただし、株価の短期的な動きに関していえば、何よりも大きな影響を与えるのは「投資家の心理」である。そもそも、株式投資自体が先の見えない結果に対してリスクをとって賭けるという行為であるから、先行きが不透明な状況になってくると不安心理は大きく増幅されてくるし、逆に経済の先行きが楽観的な見通しに満ちてくると、過度に強気な心理になりがちだ。前者の時に暴落が起こり、後者の場合はいわゆる「バブル」が生じることになる。これはいいとか悪いという問題ではなく、人間が本質的に持っている心理なので仕方ない。

 実際、株式市場が大きく下落するのは多くの人が株を売るからであり、さらにその理由は不安心理によるところが大きい。株式市場において、株価が下落する理由は大きく分けると2つある。1つは今回のウイルスのように社会不安が生じたり、政治的な変化や天変地異が起きたりといった、突発的で好ましくない事象によって大きな心理的不安が生まれる場合だ。そしてもう1つは、実体経済が悪化し、個別の企業業績なども悪化する場合である。

 本来であれば、前者のような突発的事由の場合は、それが経済に大きな影響を与えるのでなければ、一時的な上げ下げがあったとしても元に戻りやすい。

 ところが後者の場合は、下落が長引くこともある。特に個別株に投資をしている場合、市場全体の要因ではなく、その企業自体の業績が悪化したり財務内容が劣化したりしているのであれば、株価は長く低迷するということも起こり得る。

 したがって、個別企業に投資をしている場合であれば、前者のような市場全体が突発的な事由で下げた場合、慌てて売るのではなく、しばらく様子を見た方がよいが、後者のように個別企業の内容が悪化することが明らかになった時には、すみやかに売却するかどうかを検討した方がいいのだ。ところが多くの人は、その判断を全く逆にしがちである。