6月になり弾けるように
新築住宅価格が上昇

「中国、再び不動産熱」、「中国不動産市場復活の兆し」――

 7月下旬、日本のメディアは、金融緩和で動きが出始めた中国の不動産市場の変化を報じた。

 中国国家統計局の発表によると、今年6月の主要70都市における新築住宅価格は、25都市が前月比で上昇となり、5月の6都市から4倍以上に増えた。新築住宅価格は政策も奏功し、今年に入り低い水準で推移してきたが、6月になり弾けるように増加したのだ。

 さらに、成約面積も大幅な伸びを示すものとなった。今年第2四半期、主要20都市における月間の平均成約面積は1313万m2にのぼり、前年同期比66%の増加となった。

 2012年第1四半期は低迷していた中国の不動産市場だったが、「不動産冬の時代も一転して夏が到来」したかのようだ。

 背景には、中国人民銀行が6月以降2回連続して行った利下げがある。また、ここ数ヵ月続いていた、売り主による値引き合戦やサービス合戦がこれに重なり、「買い」と読んだ層がここに群がった。

 だが、市場が不動産取得に動いたのは、単に利率を下げたからではなかった。
「利下げは政府の政策転向だ」という先走った誤解が「買い」に火を付けたのだ。

 不動産価格が異常に高騰した中国ではここ数年来、不動産取引の価格上昇を抑制するために、当局による各種規制が断続的にかけられてきたが、結果的にそれが景気全体の減速をもたらすことにもつながった。この抑制策(限購令)こそ、景気悪化の元凶とも言われてきたが、「いよいよ解禁か」と誤読されたのだ。

「中央政府はそろそろ、この抑制策を取り下げるはず」――という期待と憶測が高まるさなか、2度の利下げは「政策転換」のシグナルだと受け止められた。