大手自動車メーカーは未来のビジョンを投資家に売り込もうとするたびに、同じ質問を聞かされてきた。「テスラはどうなのか?」
投資家は車の未来は電気自動車(EV)にあると一段とみなすようになっている。たとえ買い手の大半はまだそう考えていないとしてもだ。そして、それら投資家は最近、自動車の未来について、資金が潤沢で経験豊富な自動車メーカーとの争いでテスラに賭けている。
テスラの株価は14日時点で年初来91%も急騰している。その主因は、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が安定したリーダーシップを一部発揮し、2四半期連続で黒字を達成するなど約束の一部を果たしたことにある。また、株取引が過熱している面もある。
しかし投資家やアナリストは、これは電気自動車(EV)の時代が到来したという見方を反映しているともみている。
テスラはおおむね、EVに賭ける上で格好の標的となっている。従来の自動車メーカーはガソリンと電気を組み合わせたハイブリッド車(HV)に力を入れてきたが、テスラは早い段階からHVには見切りをつけていた。マスク氏は単にEVを売るだけでなく、世界の持続可能なエネルギーへの移行を加速するというミッションを掲げ、テスラ独特のオーラを作り上げた。
テスラ株を巡る興奮は、EVへの移行でテスラが「1人勝ち」すると市場がみている証拠だ。英銀バークレイズのアナリスト、ブライアン・ジョンソン氏は今月、投資家向けのメモでこう述べた。また、やはり過大なバリュエーションで株価が高騰した1990年代のIT(情報技術)ブームとも比較した。
テスラが13日に新株発行で20億ドル(約2200億円)超を調達すると発表した際、株価は4%以上上昇した。この資金でテスラは財務力を強化し、モデルや工場に投資できるようになる。