1月10日、中国の新興電気自動車(EV)メーカーの代表格である蔚来汽車(NIO)は、同社の2018年のEV販売台数が、中国高級EV市場でテスラに次ぐ第2位に躍進したと発表した。テスラとの台数差は、たったの2600台にまで迫っているという。一方で、テスラの中国現地生産が中国EV業界に地殻変動をもたらそうとしている。
まるで、テスラの独走を許さぬという強い意思を表明するかのような発表だった。というのもこの日は、米テスラが上海で最大生産能力50万台を誇る巨大EV工場「ギガファクトリー3」の着工式を華々しく開催したほんの3日後というタイミングだったからだ。
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NIOの危機感はしごく真っ当だ。この数年間、中国ではNIOを含む地場の多くの新エネルギー車(NEV)メーカーが、中国政府による補助金を追い風に着々と成長してきた。しかし、ギガファクトリー3によって、そんな中国のNEV市場に地殻変動が起ころうとしている。
テスラの現地生産のインパクトとしてまず上がるのが、地場のNEVメーカーの競争力低下を助長するのではないか、という懸念の声である。19年1月25日のダイヤモンド・オンライン記事「テスラ上海新工場でのバッテリー採用、パナより中国CATLが有力か」で述べた通り、ギガファクトリー3における現地生産の開始により、テスラの中国での低価格販売が可能になるからだ。
中国のNEV市場で圧倒的なブランド力を持つテスラの価格攻勢は、地場のNEVメーカーにとって大きな脅威ではある。ただ、より重要なインパクトが二つある。