安倍首相Photo:Reuters

 日本政府はかなり以前から消費税率引き上げの取り組みを続けてきたが、今回の引き上げが「三度目の正直」になることはなかった。17日に発表された2019年10~12月の国内総生産(GDP)伸び率は、消費増税が景気を圧迫したことでマイナスとなった。これは多くの人々が警告していた通りの展開であり、1989年の消費税導入後、1997年と2014年に実施された2回の税率引き上げの際と似たような状況だ。

 10~12月の統計に基づく、年率換算の日本のGDPのマイナス幅は6.3%となる。その最大の要因となった消費支出の落ち込み幅は年率11.5%だ。安倍晋三首相が昨年10月に、消費税率を8%から10%へと引き上げたのだから、こうなるのは当然だ。

 この減少の一部は、消費者が増税前に買いだめをして、先回りしようとした結果だ。消費増税のショックが和らいでも、大きな救いは期待できない。労働市場が逼迫(ひっぱく)しているにもかかわらず、賃金の伸びは停滞しており、厚生労働省の推定によると、インフレ調整後の給与は2012年から18年までに3.5%減った。家計所得にとって、消費増税は新たなより大きい圧迫要因になっている。

 増税のタイミングは、その後に中国で新型コロナウイルスの感染拡大が起きただけに、最悪だった。新型コロナウイルスの感染拡大で、1月の春節(旧正月)期間の観光と消費は落ち込んだ。安倍氏は、日本経済が最も回復力を必要としているその時に、経済を締め付けてしまった。アナリストの中には、日本が既に消費増税とコロナウイルスを原因とするリセッション(景気後退)に入ったのではないかと危惧する向きもある。リセッションは2四半期連続でマイナス成長を記録することと定義されている。