高架化・地下化の希望が
地域によってバラバラ

 内閣府発表の「令和元年版 交通安全白書」によれば、踏切事故による死傷者数は09~18年の間で2776件にもおよんでいる。

 このような凄惨な事故が多発する中、一部地域では踏切廃止を目的とした線路の地下化や高架化など「連続立体交差事業」が推進されてきている。

「踏切をなくす方法は、(1)線路の上に道を通す、(2)線路の下に道を通す、(3)道の下に線路を通す(地下化)、(4)道の上に線路を通す(高架化)の4つが基本的にあります。この中で工事費と効果を比べて、もっとも有効といわれているのが(4)の高架化です。線路を高架化すれば、お年寄りを含めた歩行者は陸橋の階段などを上り下りする必要もなく、今まで通り道を渡れるので、住民にとっても最良の策だと、一般的にいわれています」

 しかし高架化を巡る問題では、しばしば沿線住民から反対意見が出ることもある。それを象徴する出来事が01年の「小田急線高架訴訟」だ。

「東京都と小田急電鉄は、向ケ丘遊園駅~代々木上原駅の区間を(複々線化工事と同時に)高架化する事業を進めようとしましたが、沿線住民は騒音や振動、日照権などを問題視し、訴訟に発展しました。その結果、東京都と小田急電鉄は敗訴。それ以降、同区間の連続立体交差事業を地下化しなければならなくなりました。このように沿線住民の中には、踏切廃止という総論には賛成だけど、高架化などの各論(方法論)には反対という人は多いようです」

 一方で、地域によっては地下化に反対するところもある。

「たとえば清酒などの産地の場合、地下水が大変重宝されているようなところもあります。そういう産業が成り立っているような土地では、地下を掘ることは難しいでしょう。それならばと高架化しようにも、やはり沿線住民の合意をとりづらいし、すでに線路の上を高速道路などが横切っているなんてこともありますからね」

 地域ごとに「地下化」「高架化」の要望に応えていたら、ジェットコースターのように山がいくつもあるいびつな形状の線路になってしまうに違いない。