国土交通省が発表した東京圏鉄道路線の2018年度の遅延状況。これを分析してみると、小規模な遅延(10分以下)を頻発する路線と、大規模な遅延(30分超)が発生する路線は、それぞれ特徴があることが見えてくる。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
千代田線はほぼ毎日遅延
2018年度の遅延状況
国土交通省は2月10日、東京圏鉄道路線の2018年度の遅延状況を公表した。これは遅延の現状と改善の状況を分かりやすく「見える化」することを目的として、東京圏の45路線における、1カ月(平日20日間)あたりの遅延証明書発行枚数と、その発生状況などをまとめたものだ。
それによると、最も遅延発生頻度が高い路線は東京メトロ千代田線で、平日20日間の遅延証明書発行枚数は平均19.2枚。つまり、ほぼ毎日遅延が発生していることを示している。次点はJR中央線(快速)とJR中央・総武線(各駅停車)の19.0枚で以下、小田急小田原線の18.8枚、JR埼京線・川越線の18.3枚と続いている。ちなみに45路線の平均発行枚数は11.7枚なので、東京圏全体でみても2日に1度は遅延が発生していることになる計算だ。
東京圏のJR・大手私鉄・地下鉄各社が公式サイトで提供する遅延証明書は、5分以上の遅延が発生した場合に、5分単位または10分単位に切り上げて発行されている。つまり3分の遅れであれば遅延には含まれず、6分の遅延は「10分」として発行される。
今回の公表資料は朝ラッシュ時間帯の遅延を対象としているが、その区分は、JR東日本が7時から10時、西武鉄道と京急電鉄が始発から9時、その他は始発から10時と異なっている。遅延証明書の遅延時分は時間帯の中で最も遅延が大きかった列車の数値であり、全ての列車が記載の時間、遅延していることを示すものではない。
他路線と直通運転を行っている路線の場合、他路線から持ち越された遅れが影響していることも多く、必ずしも線内で発生した遅延だけではないことにも注意が必要だ。また、最大遅延は必ずしも上り列車(都心方面)のものではなく、下り列車(郊外方面)に遅れが生じた場合でもカウントされる。
そのため、必ずしも遅延の実態を正確に表した数字ではなく、あくまで参考値にすぎないのが実情である。それでも、一定の傾向は把握できるので、路線ごとの遅延発生状況を読み解いていきたい。