安くてアルコール度数高めの缶酎ハイ「ストロング系」にハマる人々が急増している。こうしたストロング系をはじめとする缶酎ハイが人気の背景に目を向けると、アルコールと格差社会の関係が見えてくる――。(フリーライター さとうあつこ)
小銭で憂さを晴らせる“ストロング系”にハマる人が後を絶たない。
缶酎ハイや缶のカクテル、ハイボールといったRTD(レディ・トゥ・ドリンク、そのまますぐ飲める)市場は過去10年間で倍増している。特に人気を集めるのが、アルコール度数9%のサントリー「-(マイナス)196℃ストロングゼロ」(以下、ストロングゼロ)などの缶酎ハイだ。
人気の理由の1つは、アルコール度数のわりに控えめなその価格。たとえばストロングゼロダブルレモン(350ml缶)は、某通販サイトで1本107円という激安ぶりである。
「年金問題も低賃金も忘れさせてくれる」「飲む福祉だ」などとツイートする人が続々と現れ、プロレタリア文学をほうふつとさせる「ストロングゼロ文学」なるムーブメントまで盛り上がった。一方、ブームを受け、「暴飲すればアルコール依存症に陥る危険がある」と依存症の専門医が指摘、ネット上で話題になっている。
ストロング系をはじめとする酎ハイはどのように支持層を増やしてきたのか。歴史や統計データを見ると、日本人に起こっているある変化が浮かび上がってきた。