アルコール依存症大丈夫だと思っていても、実はすでに「アルコール依存症」かもしれない Photo:PIXTA

国が推進する「健康日本21」によれば、“節度ある適度な飲酒量”の目安は、ビールなら中瓶1本、清酒なら1合。だが実際には「生中1杯」は「駆けつけ1杯」にすぎず、その後、焼酎、清酒、ウイスキーなどとグラスを重ねる人がほとんどではないだろうか。ついつい大酒を飲んでしまうあなたは、単なる酒好きなのか。それとも“アルコール依存症”なのか――。(フリーライター さとうあつこ)

高級タワマンで暮らすシニアも…
「わかっちゃいるけどやめられない」

 飲んで帰ってくると下戸の妻はいつもご機嫌斜めです。「お酒をやめろ」とうるさいのですが、自分にとってお酒はささやかなご褒美のようなもの。いい大人なんだから放っておいてほしいというのが本音です。まあ、その気になれば断酒なんて、いつでもできますけど…。

 アルコール依存症といえば、「ちゃぶ台をひっくり返し、妻を殴っているろくでなし」「へべれけになり、着の身着のまま路上で意識を失っている人」などといったイメージがあるのではないだろうか。

 それだけに、「ちょっと飲みすぎじゃない?」と周りに心配されても、「自分はアルコール依存症なんかじゃない、大丈夫」と、忠告を無視して飲み続けてしまう。心中ひそかに「二日酔いも増えたし、控えたほうがいいかな」と自覚していても、である。

 だが、「わかっちゃいるけど、やめられない」時点で、すでにアルコール依存症の入り口に足を踏み入れている可能性は高い。依存症に詳しい東京都新宿区のアパリクリニック理事長の梅野充氏は次のように説明する。

「アルコールの問題で相談に来た方に、『患者会に入会しては』とお勧めすると、みなさん『あんなやつらと一緒にしないでくれ』と顔色を変えるんですよ。しかし、アルコール依存症は生活態度や社会階層と関係なく発症する病気。毎日ちゃんと通勤しているビジネスパーソン、高級タワマンで優雅に暮らすシニアの中にも、アルコール依存症に陥っている人はいます」