ビジネスの世界では
「プランB」の準備が常識

 読者の多くが「プランB」という言葉をお聞きになったことがあるだろう。

 ビジネスの世界などでは、メインシナリオ「プランA」が実現しなかった場合にどうするかを事前に想定した、別の行動計画「プランB」を持たなければならないとされている。実際には、将来の事態の可能性が複数あるので、「プランC」「プランD」……、も必要であることが少なくないが、必要なのはメインシナリオが外れた場合の行動計画を事前に用意する「プランBの精神」だ。

 これは、人生でも同様だろう。今のシーズンの例示には深刻過ぎるかもしれないが、例えば、受験生やその親は、入試に失敗した場合のプランを用意する必要がある。会社員であっても、受注に失敗したときや売り上げが落ち込んだとき、開発がうまくいかないとき、といった「悪い事態」を想定した行動計画が必要だ。

 また、考えようによっては、十分納得的な「プランB」が用意できているなら、「悪い事態」が発生することをひどく恐れる必要はなくなる。

お金の世界でも
日本の投資家には「プランB」不在?

 お金の扱いにあっても、日本の投資家は「プランB」を想定することが苦手なのかもしれないと思うことがしばしばある。

 例えば、かつての企業年金の運用では、「予定利率」(1990年代は「5.5%」が典型だった)を目指すとする運用計画を立てる一方で、「長期投資だから何とかなるはずだ」という前提の下に、「悪い事態」を想定しない年金基金が少なくなかった。

 この態度の背景には、「年金加入者の年齢構成が若いので、運用期間が長いから長期を取るとリスクが縮小する」という誤解や、これをかたってリスクを取らせる運用をセールスしたい運用業界のマーケティングなどがあった。ただ、「運用で失敗した場合」について、母体企業の経営者と具体的に話すことができないと考える年金担当者が多かったことが、おそらく根本的な問題だった。