中国で2番目に古い
東風汽車が本拠を置く武漢
新型コロナウィルスによる肺炎、COVID-19の話題が毎日伝えられる。発生源となった湖北省・武漢市は2月14日現在、閉鎖されたままで、住民生活も企業活動も非常事態を余儀なくされている。
省都の武漢は長江(揚子江)中流に位置する中国の工業地帯であり、自動車産業では中国で2番目に古い東風汽車が本拠を置くほか武漢鉄鋼、中国船舶重工業などの企業がひしめく。COVID-19の流行が終息するまで湖北省は閉ざされたエリアになる。
武漢市は人口約1100万人、上海から西の内陸へ約750kmの場所にある。上海市は長江の河口であり、上海から長江を上ると南京市、蕪湖市、安慶市などを経て武漢市に至る。さらに長江を上ると内陸部の大都市、重慶市や成都市に至る。武漢は昔から長江を運河として使った交易の要衝だった。現在、武漢には東風汽車集団の自動車メーカーである神龍汽車(プジョー=標致、シトロエン=雪鉄龍)、東風雷諾汽車(ルノー)、東風裕隆汽車(日産)などが工場を構える。
現在、武漢市は中国の国家発展改革委員会により国家中心都市、超大都市に指定されている。内陸部の経済発展を狙う中国政府にとっては、重要な都市である。また、UNESCO(国連教育科学文化機構)は武漢市をデザイン都市に指定している。企業だけでなく研究機関が多いのも武漢市の特徴だ。そのため、新技術やそれを活用した都市づくりが実験的に試される場所でもある。