これは、世界経済にとって軽視できないリスクだ。昨年5月下旬から9月末にかけて、米国の長短金利の逆転現象はかなり鮮明となった。それは、米中の通商摩擦が米国の景気後退リスクを高めるとの見方を受けたものだった。その後、米中の休戦協定への期待が高まり、長短金利の逆転現象は解消した。それとともに、韓国経済をはじめ中国の需要を取り込んできた国の景気が下げ止まるとの楽観も増えた。

 新型肺炎の感染拡大とともに、そうした楽観は急速に巻き戻されつつある。世界経済が米国の個人消費に支えられ、それなりの安定を保ってきたことを考えると、米国の株価や金利の推移は、世界経済全体の先行きを懸念する市場参加者が増えつつあることと受け止めるべきだろう。

 2月下旬に入り、米国の長短金利の逆転と歩調を合わせるように、韓国ウォンの対ドル為替レートは下落している。これは、世界経済との連動性が高い韓国経済の先行きを警戒し、投資資金が海外に流出し始めていることを示唆する。

 また、中国の需要取り込みを重視してきたドイツをはじめとする欧州各国、さらにはアジアを中心とする新興国各国や資源国、観光や工作機械などの需要などを取り込んできたわが国などでも株価はかなり不安定だ。原油をはじめエネルギー・資源価格も同様である。今すぐ世界経済全体が大きな混乱に陥るとは考えづらいものの、新型肺炎が米中経済をはじめ世界全体の先行き懸念を高める要因であることは冷静に考える必要がある。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)