異文化マネジメントの視点に立つと「ゴーン氏の逮捕・逃亡」と「ダイヤモンド・プリンセス危機」の間には、共通する4つの日本人社会の文化特性が見えます。これらは、例え国内では美徳であっても、国際案件への対応や企業のグローバル事業等では弱点となります。その改善に向けた問題意識の共有と改善努力が期待されます。なお本稿は、この2つの出来事の是非を問うものでも関係者批判を行うものでもないことを、あらかじめお断りしておきます。(Nagata Global Partners代表パートナー、パリ第9大学非常勤講師 永田公彦)
日本の「文化的弱点」とは
国際社会が日本や日本人に対して持つ「ステレオタイプ」(先入観・イメージ・固定概念)には、我々が嬉しくなるようなポジティブなものから、逆に頭にくるようなネガティブなものまで多々あります。そして国際社会は、今回のゴーン氏やダイヤモンド・プリンセス号の件も含め日本で起きている出来事を、こうしたステレオタイプを通して解釈しがちです。
もちろんステレオタイプは、どの国から日本を見るかにより変わってきます。国によって日本との距離、歴史的関係、外交関係、経済関係等が異なるため、流通する日本についての情報の種類、量、質、伝わり方が違ってくるからです。
そこで本稿では、次に示す、西洋から見た日本の4つの文化的弱点に着目します。これらはそれぞれ、「一般的に西洋人が日本に対して抱くステレオタイプ」と「その背後にある日本人社会の文化特性(相対的に多くの日本人に見られる文化)」のセットです。また今回も含め、さまざまな場面で日本のイメージや競争力の低下を招く可能性が高いものです。