「景気後退期に大きく下がれば買い増す」投資方針は今回も有効なのか?Photo: REUTERS/AFLO

新型コロナウイルス感染拡大を伴って日本の景気後退が誰の目にも明らかになった時、株安はどこまで進むのか。「大悲観ケース」と「小悲観ケース」に分けて予想推計を試みた(本稿は2月27日午後5時の脱稿。その後、相場は変動しているが、原文のまま掲載)。

 前回のコラムで「日本、ドイツ、韓国をはじめ、中国と経済の相互依存関係の深いアジア諸国を中心に景気後退局面への移行はほぼ不可避」と述べた(「中国発パンデミック・リセッションの現実味、日本の景気後退も不可避か」2月12日掲載)。

 その時の日経平均株価指数は2万3861円(2月12日引値)で、まだ直近の高値圏で推移していた。米国株式市場はさらに強い楽観論に支配され、堅調な展開だった。一般に株式市場は景気や企業収益の数カ月先程度を予想し、予想を織り込む形で動くといわれている。しかし市場参加者の予想形成はかなり不完全で、逆に「認知のタイムラグ」を起こすことも少なくない。

 その後、週末を挟んだ2月21日から24日にかけて米国株が急落し、市場はようやく予想される景気後退を織り込み始めたようだ。そこで今回は前回コラムで想定した日本の景気後退が誰の目にも明らかになった時、株価がどの程度下がるか予想推計してみよう。

 結論を先取りして言うと、すでに日経平均株価指数で1万9000円程度への下落が視野に入っている。さらに深刻化してリーマンショック級の不況になった場合には1万5000円前後まで覚悟すべきだろう。

 もちろん、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を巡る情勢は極めて流動的で、この種の短期予測に高い信頼度を求めることは困難だが、筆者自身にとっても株式を買い増すタイミングを考える上で参考にはなるだろう。

景気動向指数とドル円相場次第の株価変動

 前回コラムでは、中国に関する経済協力開発機構(OECD)の合成景気先行指標(CLI)の下ぶれ度合いをめどに、日本の景気後退を予想した。「小悲観ケース」では2001年のITバブル崩壊時の景気後退程度、「大悲観ケース」では2008年のリーマンショック時の深い景気後退になると述べた。

 その時点では中国の需要減少の海外への波及が景気後退のほぼ唯一の要因だった。しかしその後、日本をはじめCOVID-19が伝播した各国で、大規模なイベントの休止、外出の抑制が始まった結果、経済への負の影響という点では状況は悪化している。

 その一方で、少なくとも公表感染者数の増加が世界的には頭打ちになってきていることは期待できる変化だ。ただし現時点では可能性にすぎないが、米国でもCOVID-19を含む形で米国疾病対策センター(CDC)の検査が今後進展する結果、潜在していた同感染者が多数発生するかもしれないという潜在的なリスクもある。

 そうした錯綜した事情を念頭に置きつつ、今回は日経平均株価指数を対象に日本の景気動向指数(CI、一致指数、内閣府)とドル円相場の2つの変数を利用した回帰分析と予想推計を試みた。